PRP療法とは
- Platelet Rich Plasmaの略で、日本語では血小板血漿を意味します。血小板には血液凝固作用とともに、成長因子を主とする組織修復のプロセスに重要なタンパク質が豊富に含まれています。この血小板のみを分離凝縮させて組織修復能力を高めた状態としたものを使用して治療にあたる療法をPRP療法と呼びます。
- 血小板の修復能力を治療に利用するといった報告は1970年代にラットの創傷治癒の報告から始まります。臨床応用はWhitmanが口腔領域において1997年に最初に報告しています。
- 当院では主として変形性関節症(膝、股関節、肩関節、足関節、手のCM関節、へバーデン結節など)に行っています。
対象となる方
変形性関節症などで従来の治療法(お薬、リハビリ、ヒアルロン酸関節注射など)を行ったが痛みが続いている場合や少しでも痛みを改善したい方、痛みがあるが手術には踏み切れない方などが対象となります。また、もう少し痛みや動きをよくしてスポーツ活動を行いたいといった方も対象となります。PRP療法は自分の血液成分を使用するので副作用がほとんどなく安全で有効な治療方法です。しかも自己血を15ml採血した後、関節注入するだけといった簡便な方法です。
PRPの種類
PRP療法にはいろんな種類があるうえに言葉も混乱しています。また、PRP療法は今のところ自費治療なので、行っているところによって独自の名前を付けていることもあります。
- PRPのみを使用
遠心分離して血小板が多量に含まれている領域のみを使用するもの
- PRP-FD
PRPをさらに凝縮加工して使用するもの
- Leukocyte-Poor PRP
PRPを生成する際に白血球をほとんど取り除くようにして作成したPRP
- Leukocyte-Rich PRP
PRPを生成する際に白血球分画も取り入れて作成したPRP
- ACP-PRP
当院で施行しているPRP療法で、炎症抑制と軟骨保護作用を高めたPRPです
ACP-PRPとは
ACPとはAutologous Conditioned Plasmaの略称で、日本語では自家調整血漿といいます。ACP-PRPとはPRPの一種で、炎症抑制作用の邪魔になる赤血球と一部の白血球を約99%分離し、炎症抑制と軟骨保護作用を高めた黄色い液体です。赤血球と白血球がほとんど含まれないため、”Pure PRP”とも言われます。血液中の良いたんぱく質をバランスよく濃縮し、注入することで、関節内の細胞が病的な炎症を引き起こす仕組み(NF-κBシグナル伝達経路)を抑制し、炎症を改善、痛みの緩和、軟骨破壊防止を行うことが期待されています。ACP-PRP療法は欧州で既に治療法として承認されており、また欧米では既に複数の機関で客観性の高い臨床試験が行われ、その結果が国際的に権威のある学術雑誌に報告されるなど、有効性の確認が進んでいます。
PRP療法の詳細は下のバナーをクリックしてください
当院でのPRP療法の流れ
PRP療法は外来で行っています(予約制)。採血からPRP療法終了まで約30分です。
-
患者さんの血液を15ml採取します。
-
採取した血液を遠心分離器にかけます。
-
出来上がった血小板層と血漿の層(ACP-PRP)を取り出します。写真の黄色い部分がACP-PRPです。
-
この工程は約10分で、4~5mlのACP-PRPが作成できます。
-
目的とする関節に関節注入します。
膝、股関節では4〜5ml全量使用。足関節では3ml程度、肩関節では関節内に3ml、sabに2ml、母指CM関節症では1ml程度、へバーデン結節では1関節0.5ml程度使用します。
入浴に
ついて
PRP療法当日は関節に注入するため入浴やシャワーなど局所を濡らしたり汚したりするようなことは禁止とします。歩いたり関節を動かしたりする普通の生活動作は可能です。翌日より入浴やシャワーは可能ですが、激しい運動やサウナなどは3日ほど休んでください。
料金
PRP療法は自費診療です。
膝、肩、股関節、足関節、肘関節など大きな関節で両側一度に行う場合は2関節の料金となります。ただし手指など小さい関節に複数関節を行う場合は1関節の料金となります。
1回 | |
---|---|
1関節 | 55,000円(税込) |
2関節 | 110,000円(税込) |
注意点
- PRP療法を行う当日は保険医療ができません。当院での診療、投薬注射などがすべて自費となります。(精神科、内科、もの忘れ外来、歯科など他の診療科を受診の場合も自費)。
- PRP療法を行うための事前の診察や翌日以後の診療に関してはすべて保険医療となります。